Close to you
「けどもうわかったよ」
お父さんは怒りを押しころした声で言った。
「ウソを吐いているのは、お母さんだ」
そうして崩れるようにして、床に額をすりつけた。
「すまない!……すまない!……お父さんが、お母さんに家を任せっきりにしなければこんなことには……!」
「お父さん」
私は床にひざをついて、お父さんの両肩に手を乗せた。
「まずは、担当の先生からお話しを聞いてきて」
「!……そうか、そうだな……」
「それから、奥野さんは窃盗なんかしてない」
「お母さんはそんなウソまで……!」
「私も協力したの」
お父さんはハッと顔を上げると、唖然とした顔で私を見た。
「でも、もう終わり」
私はお父さんの肩に乗せた手に力をこめた。
「私は警察に行って、本当のことを話す」
お父さんは私の目を見て、力強くうなずき手を握った。私も握りかえしてうなずく。
「お父さんも同行する、愛弓だけに背負わせない」