Close to you
わたしのありか
それから、私はお父さんが先生の話を最後まで聞くのを待って、警察に行く前に、いったん家に帰ることにした。
お父さんと2人で歩く帰り道はなんだか照れくさい……と思うヒマもなく、お母さんのしたことについて事細かく聞かれて、私は覚えている限りのことだけを答えた。
(こういうときに真弓がいれば、お祖母ちゃんのこととかもっと話せたかもしれないのに)
そうは思っても、絶対に口にはしない。真弓が起きてくればいくらでも聞ける話だ。
(でも真弓は、「今さら父親ヅラする気?」とか言ってきそうだな……)
うん、想像は十分につく。
私が明後日の方向に思考を飛ばしていると、不意にお父さんが立ちどまった。
どうしたんだろう、家はもうすぐそこなのに。
そう思ってお父さんの視線の先をたどると……私は硬直してしまった。
「愛弓……あなた……」
表情をごっそりと削ぎおとしたお母さんが、そこにいた。