Close to you


「お母さん、私が小学校受験に受かったときに約束したよね……いつでもお母さんの味方でいるって」


「そうよ、お母さんの努力を認めてくれるのは愛弓しかいない」



 私は小さく息を吸った。



「私はお母さんを利用した」



 横で、お父さんが息を呑む音がした。



「真弓は思う通りにならない、お祖母ちゃんは自分を責める……そんなかわいそうなお母さんの、唯一の救世主」



 お母さんが目を見開く。



「優しい、“いいこ”の私を作りたかった」



 私は大きく息を吐いた。



「お母さんのためじゃない、全部、自分のため」



 お母さんが、ひざから崩れおちた。お父さんが慌てて駆けよる。


 お母さんはお父さんに抱えられて、どうにか立ちあがった。


 その目には光りがなくて、なにかブツブツ言っているのは聞こえるけど、意味はわからない。



「愛弓、お父さんはお母さんを落ちつかせるから、警察に行くのはもう少し待ってくれ!」


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