世界で1番幸せな私~イケメン御曹司の一途で情熱的な溺愛に包まれて~
重なり合う想い
「結仁は大丈夫?」


「ママさんと朱里が見てくれてます」


「それなら安心だな」


「はい」


TOKIWAスイミングスクール。
今の時間はもう誰もいない。
夜の静まり返ったプールサイド。
そこに小さく響く素足で歩く音。


「座って」


「ありがとうございます。あの、大丈夫なんですか? こんな夜に、しかも洋服のままプールサイドに……」


「構わない。ここは明日からプール内の点検作業で3日間休業予定だから」


「そうだったんですか……」


理仁さんからの誘いに素直に応じ、今、ここにいる自分。2人きりなのに、気持ちはなぜかとても落ち着いている。


「悪かった、疲れているのに」


「理仁さんこそ。私は……大丈夫です」


「なら良かった。正直、君が来てくれてホッとしてる」


「そんな……。本当にごめんなさい。私1人で結仁を守るなんて偉そうに言っておきながら、結局……」


「謝らなくていい。結仁を守れなかったのは俺だから」


「そんなことありません! 悪いのは私です」


その時、理仁さんは、私の手を引いて立ち上がった。


「おいで」
< 144 / 192 >

この作品をシェア

pagetop