世界で1番幸せな私~イケメン御曹司の一途で情熱的な溺愛に包まれて~
なのに、おばさん達が「定食屋」を継いですぐ、ずっと通ってくれていたお客さん達がみんな離れていき、あっという間に経営は厳しくなった。


赤字になる直前、2人は慌てて店を閉め、躊躇なく売りに出した。そして、その時に得たお金でこの「都田」の家を買った。私の両親が大切に守っていた物を簡単に売り飛ばし、お金に変えて……私のかすかな思い出を全て自分達のものにしたんだ。


そのお金がどうなったのかは、今となっては何もわからない。でも、私は大学を諦め、高校も公立で、無駄遣いはほとんどしていないし、学費や養育費を全部足したとしても、多額のお釣りが出ているのは間違いなかった。


「ここに置いてもらってることは、本当に感謝しています。すみません」


いつも嫌味を言われる度、虚しさが募り、心は閉ざされていった。私はただ、毎日、機械のように「すみません」と謝るだけ。
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