世界で1番幸せな私～イケメン御曹司の一途で情熱的な溺愛に包まれて～

私は、松雪 双葉(まつゆき ふたば)。
165cm、ブラウン系のナチュラルボブに緩めのパーマスタイル。
顔は……たぶん、普通。メイクは最低限、きっと、見た目は地味な女性。ううん、見た目だけじゃない、性格も……そうだと思う。
同い年の朱里と比べれば、陰と陽。もちろん、私が「陰」の方。


「双葉ちゃん。そういえば、あいつ、逮捕されたんだってな」


常連のおじさんに突然声をかけられ、ドキッとした。


「あっ、そ、そうみたいですね。もうずっと会ってないので……よくわからないんです」


「結婚詐欺だろ？ ここにどなり込んできた時は驚いたけど、まあ、逮捕されて双葉ちゃんもホッとしたんじゃないか？」


「……そ、そうですね。あの時はご迷惑をおかけしてすみませんでした」


「いやいや。双葉ちゃん、あいつにお金を騙し取られたんだもんな。本当に逮捕されて良かったよ」


「あら、立花さん。暗いお喋りはお断りですよ。この店では楽しく過ごしてくださいね」


ママさんの言葉に、常連さんは気まずそうにビールを口に流し込んだ。