世界で1番幸せな私~イケメン御曹司の一途で情熱的な溺愛に包まれて~
あなたを忘れるために
あれからしばらくして理仁さんは海外へと飛び立った。連絡は何度かあったけど、見て見ぬふりをしてしまった。


『遠くから理仁さんの幸せをずっと祈っています。お体に気をつけてお仕事頑張って下さい』


最後の最後、ただそれだけメッセージにして送信した。


呆気なく終わった私と理仁さんの時間。
確かに私は……理仁さんを好きになっていた。
好きな人に抱かれ、幸せだった。


別れを選んだのは、あまりにも生きてきた境遇が違うから。私といたら理仁さんが幸せになれない気がして、どうしても自分の気持ちに素直になれなかった。


そして、何より、傷つくのが怖かった。


寂しい。
自分で別れを選んだはずなのに、理仁さんとの出会いからあの夜のことを思い返しては、涙が溢れた。
それでも頑張って前を向かないと……
私には、借金を返して夢を叶えるっていう目標があるんだから。


「ねえ、双葉ちゃん。最近何だか元気ないよ? 詐欺にあった時みたいに沈んでない?」


もみじちゃんがノックもせずに部屋に入ってきた。
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