世界で1番幸せな私~イケメン御曹司の一途で情熱的な溺愛に包まれて~
涼平先生の言葉に心をグッと掴まれる。
だけど……


「……すみません。そんな風に言ってもらえて嬉しいですけど、やっぱり……」


「また、会ってもらうことはできませんか?」


「……あの……」


新しい恋がしたいはずで、まだ付き合うわけじゃないのに、私は何を躊躇してるの?
1歩踏み出さないと、涼平先生のことを知ることができないんだよ。


双葉、頑張れ、勇気を出して。


「ダメ……ですか?」


「……すみません。今は色々忙しくしてて……」


ああ、ダメだ、何やってるの。


「そうですか……わかりました。でも、また誘います。せっかくこうして双葉さんと知り合えたんですから」


涼平先生、優し過ぎる。
気の利いたことを何も言えない自分が情けない。


「次回、会えるのを楽しみにしてます。お疲れ様でした。気をつけて帰って下さい」


こんな私にニコッと微笑んでくれた涼平先生。
去り際の笑顔にほんの少しだけ翳りが見えたのは、私の気のせいなのかな。


せっかくの誘いだったのに。
新しい恋を望むなんて、私にはやっぱりまだ無理なのかも知れない。


重い足取りでスクールを出たら、空が夜に向かってゆっくりと色を落とし始めていた。
その光景を見上げ、私は思わず大きなため息をついた。
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