一途で嘘つきな先輩は、私を溺愛してきます。
知らない苦さ 後編
「千代華ちゃん。これは言うなって、言われてたことなんだけど。」
「…はい。」
「湊、明日の夜、日本を発つんだ。」
「……え、?」
「……、」
悲しそうに笑ってから、佐野さんは口を開く。
「これを機に、
フランスへ留学しに行くんだ。3年間。
生徒会長は、湊じゃなくて、空になる。」
あ、えないの…?
自分から会わないようにしてる、っていうわけ?
「泣いちゃ、ダメだよ。」
「は、い。」
「泣いちゃったら俺が疑われるしさー、
なにより、湊が見たいのは、千代華ちゃんの笑顔だよ。」
「……っは、い。」
「ほら、泣きそうになってる。はい。湊の家着いた。行こう。」
「はい。」
私は車を出て、インターホンを押す。
「、ちよか、です。湊、くんに会いに来ました。」
〈……千代華様ですね。門を開きます。〉