一途で嘘つきな先輩は、私を溺愛してきます。
「……ん、大丈夫……、むしろ、起こしてくれてありがと」


柔らかい笑顔で笑うところは、初めてで胸が少し高鳴る。なんか……、男っぽくない?


じゃなくて……


「俺いると、寝づらいよね。千代華ちゃんが帰ってくるの部屋の外で待って」



る、よりも先に彼女が俺のスウェットの袖を引っ張ってベットに座らされた。


「…え、」


「やだ……、行かないで……」


俺の袖を掴んだまま、うるっとした目で上目遣いされる。


いつのまにか、体を起こしていたみたいだ。


…………まっ……、て。可愛すぎるんだが…?


「……」



俺は無言で立った。

「……え、浩介く……」


本当は行きたくないけど、これ以上いると彼女に何をするかわからない。



それが嫌われることになるわけで、彼女のトラウマになってしまったら…と、思うと怖いんだ。



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