シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
「今まで前埜家にはお世話になってきました。けれど、もう終わりね」
奥様の声は、私にはとても重い。
それは、実質母もクビということだ。
「私は希幸さんには何度も忠告してきました。それは、あなたにも幸せになって欲しかったから。幸せになる方法は、ひとつじゃないと知って欲しかったから。けれど、もう手遅れだったなんて」
もう一度大きなため息が聞こえた。
「とはいえ、半分は慧悟も悪いものね。顔を上げなさい、二人とも」
奥様は失望の眼差しをこちらに向けている。
私は一度上げた顔を、もう一度下げた。
「私は、もう慧悟さんとは関わらないつもりです。ですが、この子だけは産みたいと思っています。わがままかもしれません、ですがどうか――」
「分かったわ、それでいい」
三度目の大きなため息が聞こえた後、奥様はそう言った。
「前埜家はベリが丘から離れなさい。二人で、ここではない遠くへ。場所は私が手配しましょう。それが、出来損ないの息子を育ててしまった私からのお詫びよ」
「はい、ありがとうございます」
母と二人、私は奥様に頭を下げることしかできなかった。
奥様の声は、私にはとても重い。
それは、実質母もクビということだ。
「私は希幸さんには何度も忠告してきました。それは、あなたにも幸せになって欲しかったから。幸せになる方法は、ひとつじゃないと知って欲しかったから。けれど、もう手遅れだったなんて」
もう一度大きなため息が聞こえた。
「とはいえ、半分は慧悟も悪いものね。顔を上げなさい、二人とも」
奥様は失望の眼差しをこちらに向けている。
私は一度上げた顔を、もう一度下げた。
「私は、もう慧悟さんとは関わらないつもりです。ですが、この子だけは産みたいと思っています。わがままかもしれません、ですがどうか――」
「分かったわ、それでいい」
三度目の大きなため息が聞こえた後、奥様はそう言った。
「前埜家はベリが丘から離れなさい。二人で、ここではない遠くへ。場所は私が手配しましょう。それが、出来損ないの息子を育ててしまった私からのお詫びよ」
「はい、ありがとうございます」
母と二人、私は奥様に頭を下げることしかできなかった。