シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
「僕と、希幸の子……っ!」

 足や胴体の説明を受け、慧悟さんが声を漏らす。
 その顔が映し出されると、慧悟さんは食い入るように見つめていた。

「お顔が良く見えますね。親孝行な子ですよ」

 朗らかな笑顔の女医さんに言われ、慧悟さんが「はい」と答える。

「指しゃぶってる? お腹の中にいるときから天才なのか……っ!」

 私より感激している。
 そんな彼を、愛しいと思ってしまった。

 けれど、胸を不安が掠める。
 これから先、私たちはどうなってしまうんだろう。

 衣服を整え、診察室の椅子に座り直す。
 あとは経過を聞き、何も無いなら検診は終了だ。

 終始感激していた慧悟さんと並んで座る。
 こうしていると、慧悟さんと本当に夫婦になったような気がして頬が垂れる。
 それが慧悟さんにバレないようにお医者さんの方を見ていると、何かを記し終えた彼女はこちらを向く。

「お連れ様がいる今だから、お話しますね」

「希幸はどこか悪いんですか!?」

 慧悟さんが前のめりに訊く。
 女医さんは「そういうわけじゃないんだけれど」と、でも言いにくそうに口を開く。

「前埜さん、切迫早産ですね」
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