シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
そこに愛があるのなら
25 私の意志で
それから、数日後。約束を取り付けたその日に、幾美家ご夫妻がそろって病室にやってきた。
その表情はいつになく硬い。怒っているような、威厳があって逆らえないような雰囲気を醸し出す。
ぴりりとした空気の漂う中、口火を切ったのは奥様だった。
「希幸さん、ベリが丘に戻ってきていたのね」
「はい、すみません」
奥様には慧悟さんの前に現れないと宣言し、ベリが丘を出た。
住む家まで提供してくれたのに、私は慧悟さんに連れられてベリが丘に戻ってきてしまった。
彼女がお怒りになるのも、無理はない。
「まだ慧悟と会っていたのね。会わないって、約束まで取り付けたのに」
「申し訳ございません……」
慧悟さんの方から会いに来たから――などと、言い訳を並べられる雰囲気ではない。
私はただ、謝るしかできない。
けれど、言わなくては。
私が胸の中に決めた想いを。
せっかく、彩寧さんに呼んでもらったのだから。
「奥様、私はもう慧悟さんとは――」
その時、ガシャン! と大きな音を立てて病室の扉が開いた。
「希幸っ!」
はっとして、飛び込んできた彼を見つめてしまった。
――何で? 今、シンガポールにいるはずなのに……。
息を乱し、壁に手をつく彼は、まぎれもなく、私の愛しい人だった。
その表情はいつになく硬い。怒っているような、威厳があって逆らえないような雰囲気を醸し出す。
ぴりりとした空気の漂う中、口火を切ったのは奥様だった。
「希幸さん、ベリが丘に戻ってきていたのね」
「はい、すみません」
奥様には慧悟さんの前に現れないと宣言し、ベリが丘を出た。
住む家まで提供してくれたのに、私は慧悟さんに連れられてベリが丘に戻ってきてしまった。
彼女がお怒りになるのも、無理はない。
「まだ慧悟と会っていたのね。会わないって、約束まで取り付けたのに」
「申し訳ございません……」
慧悟さんの方から会いに来たから――などと、言い訳を並べられる雰囲気ではない。
私はただ、謝るしかできない。
けれど、言わなくては。
私が胸の中に決めた想いを。
せっかく、彩寧さんに呼んでもらったのだから。
「奥様、私はもう慧悟さんとは――」
その時、ガシャン! と大きな音を立てて病室の扉が開いた。
「希幸っ!」
はっとして、飛び込んできた彼を見つめてしまった。
――何で? 今、シンガポールにいるはずなのに……。
息を乱し、壁に手をつく彼は、まぎれもなく、私の愛しい人だった。