シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
「というか、なぜ僕が知らないことを彩寧が知っているの?」
「だって私、希幸ちゃんとやりとりしてるもの」
私は二人の会話の後ろでそっと身体を起こす。
すると、同意を求めるように、彩寧さんがニコっとこちらに微笑んだ。
「希幸ちゃんがベリが丘を離れるときに、見送りに行ったの。その時、連絡先を交換したのよ」
「僕は、希幸の連絡先は――」
「慧悟はお見送りに来なかったじゃない」
彩寧さんがそう言うと、慧悟さんは黙ってしまった。
「い、いいんです! むしろ、一介の庶民である私なんかに、幾美家や城殿家の方々にお見送りいただくだなんてそれだけとても恐縮なことだったんですから」
慌てて言ったけれど、彩寧さんは「希幸ちゃんは、大切な友人だもの。妹みたいって、ずっと思ってたの」と付け加える。
妹、かぁ……。
当時の関係を想えばそれは正しいのだけれど、私の胸はチクリと痛んだ。
「もしかして彩寧は、希幸が戻ってくることも知ってたのか?」
「もちろん」
彩寧さんはニコっと笑う。その顔は上品で可憐なのに、まるでいたずらの成功した子供のようだった。
「だって私、希幸ちゃんとやりとりしてるもの」
私は二人の会話の後ろでそっと身体を起こす。
すると、同意を求めるように、彩寧さんがニコっとこちらに微笑んだ。
「希幸ちゃんがベリが丘を離れるときに、見送りに行ったの。その時、連絡先を交換したのよ」
「僕は、希幸の連絡先は――」
「慧悟はお見送りに来なかったじゃない」
彩寧さんがそう言うと、慧悟さんは黙ってしまった。
「い、いいんです! むしろ、一介の庶民である私なんかに、幾美家や城殿家の方々にお見送りいただくだなんてそれだけとても恐縮なことだったんですから」
慌てて言ったけれど、彩寧さんは「希幸ちゃんは、大切な友人だもの。妹みたいって、ずっと思ってたの」と付け加える。
妹、かぁ……。
当時の関係を想えばそれは正しいのだけれど、私の胸はチクリと痛んだ。
「もしかして彩寧は、希幸が戻ってくることも知ってたのか?」
「もちろん」
彩寧さんはニコっと笑う。その顔は上品で可憐なのに、まるでいたずらの成功した子供のようだった。