シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
「会社のことは、希幸は心配しなくていい。新しい取引のために、シンガポールに行っていたんだ。契約はうまくいって、新たな販路も確保できた。幾美硝子は大丈夫だよ」
私の頬をもう一度撫でる慧悟さんは、愛しそうに私の瞳を覗く。慧悟さんの瞳に、私が映っている。
「会社のことと、希幸のことは全く関係ない。でも、会社ことまで心配してくれたんだね。こんな風に、会社のことまで気にかけてくれるなんて、希幸はもう立派な僕の――幾見家のお姫様だよ」
言いながら、慧悟さんはそっと立ち上がる。
振り返り、奥様の方を向いた。
「母さんも、父さんも、そう思わない?」
奥様は気まずそうに、視線をどこかにさまよわせる。
しばらくの後、口ごもるように言った。
「まあ、姫川財閥の娘だっていうのなら、考えなくもないわ……」
姫川財閥といえば、幾美家に並ぶ旧家だ。同じベリが丘ノースエリア内にお屋敷を持つ、いわば幾美家のご近所さんでもある。
オーナーは嫡男ではないけれど、オーベルジュだけでなく、各所のレストラン経営を任される姫川財閥のやり手でもあると、料理長から聞いていた。
「父さんも、いいよな」
慧悟さんの鋭い視線に、旦那様は「ああ」とだけ短く答えた。
私の頬をもう一度撫でる慧悟さんは、愛しそうに私の瞳を覗く。慧悟さんの瞳に、私が映っている。
「会社のことと、希幸のことは全く関係ない。でも、会社ことまで心配してくれたんだね。こんな風に、会社のことまで気にかけてくれるなんて、希幸はもう立派な僕の――幾見家のお姫様だよ」
言いながら、慧悟さんはそっと立ち上がる。
振り返り、奥様の方を向いた。
「母さんも、父さんも、そう思わない?」
奥様は気まずそうに、視線をどこかにさまよわせる。
しばらくの後、口ごもるように言った。
「まあ、姫川財閥の娘だっていうのなら、考えなくもないわ……」
姫川財閥といえば、幾美家に並ぶ旧家だ。同じベリが丘ノースエリア内にお屋敷を持つ、いわば幾美家のご近所さんでもある。
オーナーは嫡男ではないけれど、オーベルジュだけでなく、各所のレストラン経営を任される姫川財閥のやり手でもあると、料理長から聞いていた。
「父さんも、いいよな」
慧悟さんの鋭い視線に、旦那様は「ああ」とだけ短く答えた。