シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
「私は、幾美家が大好きです。いち使用人の子供である私にも、優しく温かく接してくれた幾美家が。幼い私にも、いいこととわるいことを凛として教えてくれた幾美家が」
窓の外を見つめたままの奥様に、幾美家への思いをぶつける。
「古からの威厳を保ちながらも、優しく温かい幾美家が、素敵な幾美家が大好きです。だから、そんな悲しい顔をしないでください」
言い切ると、奥様がこちらを向く。
その顔に浮かぶ優しい笑みは、大好きな慧悟さんのものとそっくりだった。
その時、ぽこりとお腹が動く。
「あ、今蹴りましたよ!」
言えば、奥様も私のお腹を優しく見つめる。
「きっと、この子も幾美家が大好きなんですよ。奥様も触ってみてください、今元気に――」
奥様の手が優しく私のお腹に触れる。ぽこぽこっと、元気にお腹の子が動いた。
「あら!」
奥様の顔が綻んで、私も嬉しくなる。
「さて、長居してしまったわ。もう行くわね」
奥様が立ち上がる。けれど、「ああ、そうだわ」とこちらに振り返る。
「希幸さん。いい加減、奥様はやめなさい。あなたはもう使用人の娘じゃない。慧悟の婚約者なのよ。お母様と呼びなさい」
「はい、おくさ……お母様!」
私の言い間違いにフフッと笑った奥様は、部屋の扉の方へ向かう。
心がほわほわと温かいのは、きっと奥様から滲み出る優しさが部屋に漂っているからだろう。
窓の外を見つめたままの奥様に、幾美家への思いをぶつける。
「古からの威厳を保ちながらも、優しく温かい幾美家が、素敵な幾美家が大好きです。だから、そんな悲しい顔をしないでください」
言い切ると、奥様がこちらを向く。
その顔に浮かぶ優しい笑みは、大好きな慧悟さんのものとそっくりだった。
その時、ぽこりとお腹が動く。
「あ、今蹴りましたよ!」
言えば、奥様も私のお腹を優しく見つめる。
「きっと、この子も幾美家が大好きなんですよ。奥様も触ってみてください、今元気に――」
奥様の手が優しく私のお腹に触れる。ぽこぽこっと、元気にお腹の子が動いた。
「あら!」
奥様の顔が綻んで、私も嬉しくなる。
「さて、長居してしまったわ。もう行くわね」
奥様が立ち上がる。けれど、「ああ、そうだわ」とこちらに振り返る。
「希幸さん。いい加減、奥様はやめなさい。あなたはもう使用人の娘じゃない。慧悟の婚約者なのよ。お母様と呼びなさい」
「はい、おくさ……お母様!」
私の言い間違いにフフッと笑った奥様は、部屋の扉の方へ向かう。
心がほわほわと温かいのは、きっと奥様から滲み出る優しさが部屋に漂っているからだろう。