シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
『希幸が大きくなったら、僕たちのウェディングケーキを作ってよ』
16年前に交わした、幼い私と慧悟さんの約束。
今、それを果たす。
私はローズピンク色のドレスに着替え、ウェディングケーキを会場に運んだ。
「お色直しは七回するの、それが幾美家の結婚式なの」
そうおっしゃるお母様に選んでもらったドレスは、もちろんコックコートではない。けれど、ケーキはどうしても自分で運びたかった。
七段にもなったケーキ。慧悟さんのタキシードと同じ純白のバタークリームの下は、彼の大好きなチョコレートのスポンジだ。
側面にはクリームをレース状に絞って描いたナッペの他に、無数のムラングのシュクルリーと金箔を散らした。さらに、白とピンクの薔薇のエディブルフラワーを、てっぺんからたすき掛けのように斜めに飾って仕上げた。
けれど、天面だけ何も乗せずに、ポッカリと空いている。
私はチョコレートの袋を手に、その場でホワイトチョコのプレートにパイピングを施していく。
『Congratulations on our wedding!』
――私たちの結婚、おめでとう。
大勢の参列者に見守られ、緊張で震えながら、そっと袋を離す。
人生で、こんな言葉を書くことはもうないだろう。
「とっても素敵だよ」
慧悟さんが言いながら脚立にのぼって、ケーキの一番上にそのプレートを、そして私と慧悟さんを模した砂糖菓子を置いた。もちろん私の手作りだ。砂糖菓子の私と慧悟さんの腕の中には、小さな命が抱かれている。
二人で、ウェディングケーキを仕上げられるなんて。
広すぎる会場内で、たくさんの参列者の視線を浴びながら、私と慧悟さんは互いに顔を見合わせる。
「『僕たち』のウェディングケーキだね」
「うん!」
16年前に交わした、幼い私と慧悟さんの約束。
今、それを果たす。
私はローズピンク色のドレスに着替え、ウェディングケーキを会場に運んだ。
「お色直しは七回するの、それが幾美家の結婚式なの」
そうおっしゃるお母様に選んでもらったドレスは、もちろんコックコートではない。けれど、ケーキはどうしても自分で運びたかった。
七段にもなったケーキ。慧悟さんのタキシードと同じ純白のバタークリームの下は、彼の大好きなチョコレートのスポンジだ。
側面にはクリームをレース状に絞って描いたナッペの他に、無数のムラングのシュクルリーと金箔を散らした。さらに、白とピンクの薔薇のエディブルフラワーを、てっぺんからたすき掛けのように斜めに飾って仕上げた。
けれど、天面だけ何も乗せずに、ポッカリと空いている。
私はチョコレートの袋を手に、その場でホワイトチョコのプレートにパイピングを施していく。
『Congratulations on our wedding!』
――私たちの結婚、おめでとう。
大勢の参列者に見守られ、緊張で震えながら、そっと袋を離す。
人生で、こんな言葉を書くことはもうないだろう。
「とっても素敵だよ」
慧悟さんが言いながら脚立にのぼって、ケーキの一番上にそのプレートを、そして私と慧悟さんを模した砂糖菓子を置いた。もちろん私の手作りだ。砂糖菓子の私と慧悟さんの腕の中には、小さな命が抱かれている。
二人で、ウェディングケーキを仕上げられるなんて。
広すぎる会場内で、たくさんの参列者の視線を浴びながら、私と慧悟さんは互いに顔を見合わせる。
「『僕たち』のウェディングケーキだね」
「うん!」