シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
 幾美家のレセプションパーティーというだけあって、パーティー会場はとても広い。
 私の知っている幾美家のホームパーティーとは比べ物にならない、とてもとても大きなものだ。

 ビュッフェ形式の料理が並べられる中、私はその端にあるテーブルに準備を始めた。
 会場の正面にある高砂台からは、一番遠い場所。
 けれど、だからこそ、高砂台が良く見えてしまう。

 私はそちらに意識をとられないように、必死に自分のデセールを準備した。

 旬のフルーツのプティ・タルトは断面の美しさも楽しんでもらえるように。
 レモンバームのミルクジュレは、仕上げの金粉の角度をそろえて並べる。
 ローズマリーとバジルの焼き菓子(プティフール)は、その見た目の素朴さをカバーするようにパステルカラーのムラング(メレンゲ)も添え、豪華に。

 それらの一段上にセットした、マカロン・パリジャンのプレートには、白鳥のつがいの飴細工を飾り付けた。
 白鳥の尾からは、それぞれピンク色の飴細工をリボンが垂れるように飾り付ける。
 ドルチェを飾ったテーブル全体が、一つのプレゼントになるようなデザインだ。
< 70 / 179 >

この作品をシェア

pagetop