シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
「ドルチェ、ありがとう。僕のために、取っておいてくれたんでしょう?」
食べてくれたんだ、慧悟さん――。
けれど、胸に広がるのは安堵じゃない。
モヤモヤだった。
「彩寧さんとの、大切な婚約の発表の場でしたから」
つっけんどんに答える。
放っておいて欲しいのに。
どうして慧悟さんは、いつも私の欲しい言葉をくれるのだろう。
子供じみた態度を取ったことを、後悔した。
突き放そうとしたのに、彼は私に触れようとするのだ。
伸ばされた右手。今度はまようことなく私の頬に、掠めるように触れた。
「そんなに拗ねないで。僕が好きなのは、希幸なんだから」
言わないで。
私の覚悟を、これ以上抉らないで。
「慧悟さんには婚約者がいるのに、まだそういうこと言うんですね。私だって子供じゃないから分かってます、慧悟さんとは身分不相応だって」
「僕は希幸のことを諦めない。彩寧だって僕達のことを分かってる。だから僕は、あの日希幸に待ってて欲しいって言ったんだ」
「でも……」
溢れ出した涙は言葉の先を阻む。
慧悟さんの大きな手が、私の目尻からそれを拭き取ってゆく。
ダメ、言わなきゃ。
また絆されてしまう、そんなの――。
食べてくれたんだ、慧悟さん――。
けれど、胸に広がるのは安堵じゃない。
モヤモヤだった。
「彩寧さんとの、大切な婚約の発表の場でしたから」
つっけんどんに答える。
放っておいて欲しいのに。
どうして慧悟さんは、いつも私の欲しい言葉をくれるのだろう。
子供じみた態度を取ったことを、後悔した。
突き放そうとしたのに、彼は私に触れようとするのだ。
伸ばされた右手。今度はまようことなく私の頬に、掠めるように触れた。
「そんなに拗ねないで。僕が好きなのは、希幸なんだから」
言わないで。
私の覚悟を、これ以上抉らないで。
「慧悟さんには婚約者がいるのに、まだそういうこと言うんですね。私だって子供じゃないから分かってます、慧悟さんとは身分不相応だって」
「僕は希幸のことを諦めない。彩寧だって僕達のことを分かってる。だから僕は、あの日希幸に待ってて欲しいって言ったんだ」
「でも……」
溢れ出した涙は言葉の先を阻む。
慧悟さんの大きな手が、私の目尻からそれを拭き取ってゆく。
ダメ、言わなきゃ。
また絆されてしまう、そんなの――。