シュクルリーより甘い溺愛宣言 ~その身に愛の結晶を宿したパティシエールは財閥御曹司の盲愛から逃れられない~
 そんな生活を続け、一週間が過ぎた。

「足元、気を付けて」 

 オーベルジュまで私を送り届けた慧悟さんは、車を降り傘をさす私にそう言った。

「ありがとうございます」

「また、夜に来るよ」

 車で去っていく慧悟さんを見送り、オーベルジュの中へ向かう。
 新緑の濡れた、雨の香り。
 不安を抱えたまま、私は季節をひとつ、越えようとしている。
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