強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 ラインフェルド様は、懐かしい旅装のローブを羽織っていた。今日は私用の外出ということで、この格好らしい。街ですれ違う子供たちへの配慮が素敵だ。

「い、いえ! なんでもないです」

 うん、なんでもない!
 これについてはもう、深く考えるまい。考えたら、きっと負けだ──!

「そうか。出かける準備はできているか?」

 今日の私たちの外出の目的はお買い物。……そう、新しいボンネットを買いに行くのだ。

「はいっ、いつでも出発できます」
「よし、さっそく出るとしよう」

 残念だけど、例のボンネットをあのまま持ち続けることは難しかった。もっとも、私が強がって「使う」と言ったところで、事情を全部知ったラインフェルド様が許すはずもないのだけれど。
 ちなみにあのボンネット、私が王城に展示された国王一家の肖像画の中で見たと指摘したら、ラインフェルド様は大層驚いていたっけ。どうやら、知らなかったらしい。
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