強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 特別思い入れのある形見の品というわけではないと分かり、私は少し肩透かし……いや、ホッとした。

「ふふふっ。ラインフェルド様に選んでもらうのすごく楽しみです!」
「そうか。君に一番似合うボンネットを見つけよう」

 今、私とラインフェルド様は名実ともに夫婦だ。私たちは以前の教訓を活かし、互いに伝えることを惜しまなくなった。
 喜びも、悲しみも、なんならちょっとした愚痴やイライラだって全部ふたりで共有する。ちなみに仲違いとまではいかずとも、小さな相違に不満をぶつけるのはいつだって私。彼はそれを大きな心で受け止めて、すっぽりと包み込んでくれる。うん。年上の包容力……最高か。

 そんな私が密かに抱く目標は、彼が頼みにし寄りかかれるような立派な奥様になることだ。
 今は私が彼に甘えきっているけど、私だってラインフェルド様に甘えてもらえるようになりたい。……いや、なってみせますとも!

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