強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
「あぁあ、早く寝なくちゃ明日がヤバイのに。でもでも、ラインフェルド様の尊顔が目に焼き付いてとてもじゃないけど眠れないよー。アニメ化は嬉しいけど、なんで放送が深夜なの!? こんなに面白いんだもん、ゴールデンにやってよぉ!」
明日の仕事を思うなら録画で見るべきだと分かってはいるのだが、推したるものやはり生で観なければ始まらない。
長く寝台の上でゴロゴロしていたけれど、一時間ほどが過ぎた頃にむくりと起き上がって部屋の電気を点けた。
「……もういいや。寝れないし、録画したアニメを観直そう!」
潔く眠るのを諦めた私はもう一度アニメを堪能し、ついでに小説まで読み返して朝を迎え、寝不足の怠い体を引き摺って会社に向かう。
人波の流れにのって、ふらりふらりと横断歩道を渡る。暴走車両が歩行者の列に突っ込んできたのは、まさにそんな時だった。
その日。私は人生に幕を閉じた。推し活に捧げた二十二年の人生だった。