強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
出鼻を挫かれて一瞬呆気にとられるが、すぐに気を取り直してもう一度伝えようとした。しかし、それよりも一拍先にレックスがフェリシアに声をかけた。
「ありがとう! 今行くわ。……ラインフェルド様、すみませんがもう行かなくちゃ」
レックスに答えを返して俺を仰ぎ見たフェリシアの表情は、既に聖女のそれになっていた。聖女の顔をした彼女をこれ以上引き止めるのは憚られ、やむなく内心の焦燥を押し殺して告げる。
「……そうか。道中、体をいとうようにな。気をつけていってこい」
「はい、いってきます」
フェリシアは俺の目に眩い笑みの残像を刻み、ひらりと馬車に乗り込んだ。
俺は寂寞の情を抱きつつ、小さくなっていく馬車を見送った。
それから三時間後。
俺はもんもんとした思いを燻らせながら、騎士団の廊下を闊歩していた。
……離婚回避のための糸口すら見つけられずに、フェリシアが行ってしまった。
「ありがとう! 今行くわ。……ラインフェルド様、すみませんがもう行かなくちゃ」
レックスに答えを返して俺を仰ぎ見たフェリシアの表情は、既に聖女のそれになっていた。聖女の顔をした彼女をこれ以上引き止めるのは憚られ、やむなく内心の焦燥を押し殺して告げる。
「……そうか。道中、体をいとうようにな。気をつけていってこい」
「はい、いってきます」
フェリシアは俺の目に眩い笑みの残像を刻み、ひらりと馬車に乗り込んだ。
俺は寂寞の情を抱きつつ、小さくなっていく馬車を見送った。
それから三時間後。
俺はもんもんとした思いを燻らせながら、騎士団の廊下を闊歩していた。
……離婚回避のための糸口すら見つけられずに、フェリシアが行ってしまった。