強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 まさか彼女が帰って来るまでの半月、この鬱屈と晴れぬ思いを抱えていなければならんのか!? 馬鹿な! そんなの耐えられるはずがないっ!!

 考えれば考えるほど、居ても立っても居られない思いになる。気がおかしくなりそうだった。

 ──ガチャン、ギィイイイ。

 俺が団長執務室の扉を開けると、副官のグレンが待ち構えていたような素早さで歩み寄り、報告してきた。

「おはようございます、ラインフェルド騎士団長。お待ちしておりました。さっそくですが未明に緊急派遣要請が入りました」

 グレンの一分の隙もない完璧な佇まいと一から十まで察するような鋭い眼差しは、普段なら頼もしく感じるところ。しかし、得るか失うかの瀬戸際にある今は煩わしく思えてしまう。

「聞こう」

 副官に表面上を取り繕って返事をし、話半分に耳を傾ける。

「どうやら例の山賊が活動を活発にしているようで、今月に入り既に三組の商隊が襲われ荷駄を強奪された模様です」
「そうか」
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