強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
6・聖女、町を浄化する
浄化を終えた日の夜。
私は館のホールで、町長夫妻に役場から回収してきた粉飾だらけの収支報告書を突きつけていた。
「これが証拠です。税金横領、公職への親族の不当な採用、町人に対する使役強要、他にもあなた方はこれから多くの罪を問われることになるでしょう」
町長は、役場の要職を親類縁者で固めていたのがあだとなった。身内ばかりで警戒心の〝ケ〟の字もなく、ちょっと漁るだけで不正の証拠が面白いように出てくる出てくる。
「な、なっ……! 違う、これはなにかの間違いだ!」
「そ、そうですわ! 私たちの知らぬ間に役場の者が勝手をしたのです!」
「往生際が悪いですよ! 言い訳があるのなら留置場の中で、取調官におっしゃってください!」
意地汚く食い下がってくる町長夫妻に、私はピシャリと吐き捨てた。夫妻はわなわなと体を震わせながら、憎々しげに口を引き結んだ。