強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 レックスさんはあくまで私の護衛騎士。この町で起こった犯罪を取り締まるのは、この地区を担当する屯所の仕事だ。
 私としても、後のことはすべて彼らに委ねるつもりだ。

「そう、ありがとう。レックスさん、後はひとりで大丈夫だからあなたも休んでちょうだい」
「フェリシア様、本当に宿に移らなくてよろしいのですか?」

 ゴンザレスの逮捕を受けて、この館は正しく町の所有に戻った格好だ。

「もちろん。ひと晩ここの客間をお借りするわ」

 町の人たちも、僅かに残った役場の職員も、『ゴタゴタがあった場所ですが、聖女様さえお嫌でなければぜひこの館をお使いください』と言ってくれたのだ。それなら、わざわざ遅い時間に宿に押しかけて迷惑をかける必要もないだろう。
 なにより水が使えない状態でずっと宿は臨時休業していたと漏れ聞けば、私にここに泊まる以外の選択肢はない。

「そうですか。では、隣室に控えておりますので、なにかあればお声がけください」
「ありがとう、おやすみなさい」

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