強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
7・強面騎士団長、愛妻の窮地を救う
ボンネットは馬車の中にあった。
「あったわ!」
馬車は四人乗りの広めの造りなので、扉から手を伸ばしただけでは奥の座席まで手が届かない。
私は奥の座席に置かれたボンネットを取ろうと、ステップを踏んで車内に乗り込んだ。
その時。
──バタン!
なにっ!?
背後で物音がしたと思ったら、頭上にヌッと影がかかる。
「聖女様。あんた、なんてことしてくれたんだよ」
ガバッと振り返ると車内に乗り込んできたアンディノールが後ろ手に扉を閉め、ジリジリと私に迫っていた。
「っ、アンディノールさん!? ……どうしてここに!?」
「どうして? むしろ、僕が自分の家にいてなにが悪いのさ……いや、そういえばあんたのせいでここはもう僕の家じゃなくなっちゃたんだっけか」
「うそ。横領等へ関与が疑われる町長の親類縁者は連行されたんじゃ……?」