強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 いくら広めとはいえ、ここは車内。アンディノールが二歩足を進め、私も二歩後退する。それだけで私は容易に壁際に追いやられ、背中が壁にぶつかた。

「僕は関与してないもの」

 っ! なんてこと。
 私は息子のアンディノールも連行されたものと疑っていなかった。そしてそれはレックスさんも同じだろう。彼もアンディノールの不在を同様に理解していたはず……。
 どうしよう。少しマズいかもしれない。

「僕さ、あんたのこと可愛くて、いいなって思ってたんだ。それなのにこの仕打ちはあんまりだよ。僕はこれから、いったいどうやって暮らしていったらいいのさ」

 アンディノールは直接犯罪には手を染めておらず、法的には罪に問われないのかもしれない。だけど私は、両親が不当に得た金銭で甘えきった生活をしていた彼もまた、一定の責任を負うべきだと思う。
 これまで搾取してきた分、町の人たちのために尽くしてほしいと考えるのは傲慢なのだろうか。

「そんなのは、まっとうに働いたら──きゃあっ!?」

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