強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 恐怖で肌が粟立ち、ガチガチと歯の根が鳴る。

「わぁ、真っ白だ。こんなん見せられたら僕、ますます興奮しちゃうなぁ。なんだか新雪を踏みつける時みたいにゾクゾクする」

 嫌だ、嫌だっ!! こんな奴に指一本だって触られたくない!

「へへっ、それじゃあさっそく」

 アンディノールが舌なめずりしながら、胸もとに顔を寄せる。

 っ!! ……怖い! 助けて、ラインフェルド様っ!!

 生温い息が肌を撫で、ついにアンディノールのぬるついた舌先が──。


 ──バタンッ!!


 肌に触れる直前、外から扉が開く。

「やめろ──っ!!」

 ラインフェルド様の声が響き、直後、アンディノールが文字通り私の上から消える。

「ァガッ!!」

 ラインフェルド様に車外へと投げ飛ばされ、地面にしたたかに体を打ち付けたアンディノールが呻きをあげる。

「フェリシア! 無事か!?」

 ラインフェルド様が私に向き直る。
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