強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
俺の胸に絶望が暗雲のように広がっていく。
恥も外聞もかなぐり捨てて「そんなのは容認できん!」と叫びそうになる。「俺を捨てる気なのか!?」と問い詰め、その細い体に縋りつきたい衝動に駆られる。
それをギリリと拳を握りしめて抑え、なけなしの理性でもって告げる。
「……君の気持ちは分かった。少し時間がほしい」
彼女はずいぶんと俺に配慮した言い回しをしていたが、ひと回りも年上のむさ苦しい男とひとつ屋根の下結婚生活を送るのは、心休まらぬものであったのだろう。本音では一刻も早く離婚して自由になりたかったのを、心優しい人だから俺の体面を考慮して一年間凌いでくれたに違いない。
その献身に応える意味でも、早急に彼女を解放してやるべきだと理性の部分が訴える。だが、俺の心が到底了承できないと軋みをあげる。
結果的に無様な時間稼ぎだと承知しつつ、『時間がほしい』とそう口にするのがやっとだった。
「承知しました。お疲れのところ、お邪魔して申し訳ありませんでした。失礼いたします」
恥も外聞もかなぐり捨てて「そんなのは容認できん!」と叫びそうになる。「俺を捨てる気なのか!?」と問い詰め、その細い体に縋りつきたい衝動に駆られる。
それをギリリと拳を握りしめて抑え、なけなしの理性でもって告げる。
「……君の気持ちは分かった。少し時間がほしい」
彼女はずいぶんと俺に配慮した言い回しをしていたが、ひと回りも年上のむさ苦しい男とひとつ屋根の下結婚生活を送るのは、心休まらぬものであったのだろう。本音では一刻も早く離婚して自由になりたかったのを、心優しい人だから俺の体面を考慮して一年間凌いでくれたに違いない。
その献身に応える意味でも、早急に彼女を解放してやるべきだと理性の部分が訴える。だが、俺の心が到底了承できないと軋みをあげる。
結果的に無様な時間稼ぎだと承知しつつ、『時間がほしい』とそう口にするのがやっとだった。
「承知しました。お疲れのところ、お邪魔して申し訳ありませんでした。失礼いたします」