強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
「待ってください、ラインフェルド様! レックスさんは悪くないんです。なにかあれば声をかけてくれと言われていたのに、私が勝手な判断でひとりで庭に出てしまってっ」

 必死に言い募るフェリシアを宥めるように、彼女の体重を支えているのと反対の手でポンポンと頭を撫でる。

「……分かっている」

 彼女が不安げに俺を見る。涙は止まっていたけれど今も目は赤く、目尻には痛々しく泣いた痕が残っていた。
 無意識に眉間に皺が寄った。

「君は、こんな時でも人の心配ばかりなのだな」

 ついさっきあんな目に遭ったばかりだというのに、当たり前のように自分のことより他者を気にかける。そんな彼女に切ないような、歯がゆいような、なんともいえない思いが広がった。

「っ、ごめんなさい」

 俺の表情になにを勘違いしたのか、彼女が腕の中で身を固くする。

 ……いかん。俺がフェリシアを怯えさせてどうする!

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