強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
「私はあの時、心の中であなたを呼んでいたんです。……だからあなたの声が聞こえた時は、一瞬、夢じゃないかって。……でも、あなたは本当に助けに来てくれてて……」

 俯き加減で、フェリシアがぽつりぽつりと話しだす。途切れ途切れの心の吐露を痛ましく思いつつ、そっと彼女の背中をさすりながら、急かさず静かに耳を傾けた。

「……離婚したいだなんて伝えた後だから、捨て置かれてしまったって仕方ないのに。なのに、まさか本当に来てくれるなんて」

 ここでフェリシアはバッと顔を上げ、真っ直ぐに俺の目を見て震える唇を開く。

「ラインフェルド様、私、あなたが助けに来てくれて嬉しかった!! 本当に、ありがとうございます……っ」

 彼女のエメラルドの瞳から、珠を結んだ雫がホロホロとこぼれ落ちる。
 透き通った宝石のようなそれを一滴だって無駄にするのが惜しく、気づいた時には眦に唇を寄せていた。

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