強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
8・二年前の真実と強面騎士団長の想い
「初めて言葉を交わした二年前から俺はずっと君に惹かれていたんだ」
彼の言葉を耳にした瞬間、ドクンと鼓動が跳ねた。
そのまま鼓動は駆け足のまま、煩いくらいに鳴っていた。
「……二年前?」
「君は覚えていないかもしれないが、お忍びで孤児院に慰問に来ていた君と会っている。君はかくれんぼで、まだひとりで隠れられない幼い子供ふたりと一緒に農具小屋に隠れたところを、運悪く農夫に施錠されてしまったようだった」
「たしかに、おっしゃる通りの出来事がありました」
耳の悪い高齢の農夫は私たちがあげた声に気づかずに行ってしまい、私は幼い子供ふたりと共に農具小屋に閉じ込められてしまったのだ。
農具小屋は孤児院の敷地内ではあったが、皆が生活している建物から一番離れた道路沿いの畑の端に建っていた。大声をあげたところで建物までは届かない。
かくれんぼに参加していた子供たちが見つけてくれるのが先か、日が暮れても戻らない私たちを職員が捜しに来るのが先か。