強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
「すまん。身元を偽りたかったわけではないのだが、俺はこの面だからな。高確率で子供に泣かれるんだ。だから、あの時が特別というんじゃなく、私用で街に出る時は旅装のフード付きのマントを身に着けていることがほとんどだ」
「そうだったんですね」
「俺は公式行事で何度も君の姿を見る機会があったし、聖女の特徴である銀髪を隠して質素な衣装を着ていてもすぐに聖女だと分かった。正直、実際に話してみた君は、俺が想像していた聖女像とはまるで違っていたよ。もちろん、いい意味でだ」

 彼は、当時を思い出しているのか、ブルーの双眸を柔らかにした。

「自分も心細かったろうに、子供たちを一番に気遣う様子に感心した。俺に何度も礼を言う姿は謙虚で好ましかった。一緒に母屋まで戻る途中、子供たちに気取らない笑顔で接する君を見て、その笑みを俺にも向けてほしいとそう思った」

 まさかラインフェルド様が私のことをそんなふうに思ってくれていたなんて。ジンと胸が熱くなった。
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