強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 そうこうしているうち、彼の手が胸もとから夜着の袷に入り込む。前を寛げて、肩から袖を滑らせる。同時に反対の手で腰の紐をシュルリと引かれれば、夜着は簡単にはだけて寝台に落ちた。
 夜間用のランプの光源に照らされた室内に、ショーツ一枚だけを身に着けた自分の体が浮かびあがる。
 頭上で息をのむ気配がして、大きな手がささやかな膨らみにに伸びてくる。その手が触れる直前、私は反射的に自分の両手で胸を隠して身を捩っていた。

「や……っ!」

 咄嗟に口を衝いて出た否定の言葉に、彼の手がビクンと動きを止める。

「俺に触れられるのは嫌か?」

 ラインフェルド様が困ったように、そして少し悲しげに問う。

「っ、ちが……そうじゃなくて、私の体がラインフェルド様をガッカリさせてしまうから……だから、明かりを消してほしくてっ」

 私は慌てて首を横に振り、切れ切れに訴える。

「フェリシア? ガッカリとはいったいなにを……ああ、もしかして腕の傷のことを言っているのか?」

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