強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 初めての行為に疲れ切った体は、もう指の一本だって動かすのが億劫な状態になっていて。

「後のことは俺に任せて、このままゆっくりお休み。最後まで受け入れてくれてありがとう。愛しているよ」

 少しでも油断すれば目を閉じてしまいそうになるのを堪えていたら、蕩けるように囁かれた。
 ラインフェルド様が大きな手で優しく頬を撫で、額にそっと口付ける。

「……ん、私も」

 私も彼に愛を囁き返したつもりだけれど、果たしてちゃんと言葉になっていたのかどうか少し自信がない。閉じた瞼の上に、柔らかな温もりを感じたのが記憶の最後。

 私の意識は、幸福な微睡みに溶けた──。








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