強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
10・強面騎士団長、最愛の妻との離婚を回避して新婚生活に蕩ける
フェリシアと心と体をひとつにしたあの日からもうじき一週間が経つ。
この短い期間で俺の日常は一変した。
無機質だった世界はフェリシアを中心に鮮やかに色づき、目にするすべてが輝いて見えた。俺は日々、彼女を得られた幸福を噛みしめるように過ごしていた。
ちなみに、俺がテグレン市から伝書鳩を飛ばし忘れたのを根に持っているのか、グレンの奴はよく口煩いことを言ってくる。だが、今の俺にそんな小言は痛くも痒くもなかった。
そんなある日の朝食の席。
……あぁ、俺の妻が可愛い。可愛すぎて困る。
フェリシアがスクランブルエッグをスプーンで掬って頬張る様子。パンをちぎって口に運ぶ姿。オレンジジュースを飲もうとして、白魚のような手をコップに向かって伸ばす仕草も。
どの一瞬だって見逃すのが惜しくて注視していたら、フェリシアが怪訝そうに首を傾げた。
「ラインフェルド様? そんなにジーッと見て、どうしたんですか?」