強面騎士団長に離婚を申し出たら、私を離したくないってソレ本当ですか!? ~転生聖女は推しをヒロインルートに戻したい~
 ……おっと、いかん。集中してつい見過ぎてしまった。

 さすがにそのまま本心を告げるのは憚られた。いくらなんでも変態じみている。
 さて、なんと答えたものかと思案していると、フェリシアがはたと気づいた様子で微笑んだ。

「あ、オレンジジュースですね!? すみません、普段ラインフェルド様はジュースの類は飲まれないから気づきませんでした」

 フェリシアが嫋やかな手でコップを掴み、隣の俺に向かって差し出す。

「はい、どうぞ」

 満面の笑みを浮かべる彼女に、俺も微笑みを返す。

「ありがとう」

 礼を伝え、受け取ったオレンジジュースをグイッと傾ける。
 含んだ瞬間、爽やかな酸味とフレッシュな甘みが口いっぱいに広がる。ゴクリと喉を鳴らし、口内に残る瑞々しい果実の余韻にホゥッと感嘆の息を吐いた。

 ……驚いたな、〝フェリシアに差し出されるオレンジジュース〟はこんなにも美味いのか。

「ふふっ、美味しいですか?」

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