蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら
Ⅳ.再会とプロポーズ

「高嶺さん、展示商品の確認をお願いします」


お昼休憩から戻ると、売場主任に指示されて商品の確認業務を始める。

宝飾品は外商や販売会での売り上げが大きいから、他のフロアと比べて客足は少ない。

接客が少ない時間は、商品点数の確認や備品の確認をしたりする。

作業をしながら、ふと目に入ったのはイタリアの高級宝飾品ブランドの指輪。

ラウンドブリリアントカットダイヤモンドとパヴェダイヤモンドが煌めいて綺麗。

確か、コンセプトは愛の出会い。

宝飾品の数々は毎日見ていて、美しいと思うのだけど、なぜか今、目の前のケースの中で輝く指輪に瞳も心も奪われる。

こんな素敵なエンゲージリングを贈られたら…

どんな男性に…?

あの日、サントリーニの島で出会った彼をまた心に浮かべてしまった。

そんな瞬間だった。


「エンゲージリングを見せて頂きたいのですが」


そんな男性の声にハッとする。

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