蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら


「昨日ね〜、彼が東帝ホテルのフレンチディナーにサプライズで連れて行ってくれたんだぁ〜」

「えー!東帝ホテル!?羨ましい!」


昼休み。
社員食堂の空いたテーブルで独り。
昼食をとっていると前の席から聞こえてきた会話―…


「しかもね、付き合い始めの記念にってTiffのリングまでプレゼントしてくれてねぇ。今度は旅行に行こうねって」

「ずっと茉莉が欲しがってたリングじゃん!」

「そうなの。一階の正規店からカタログもらって眺めてたの覚えててくれたみたい。サイズも測ってもらってないのにピッタリだし」

「幸せの極みじゃん。私も彼にサプライズでプレゼントされたいわー」


付き合いたてカップルの幸せそうなプライベートの話題。
盗み聞きをするつもりなんてないのに嫌でも耳に入ってくる。


「それでね、ちょっと気にしちゃうのが七階の高嶺さんのことなんだけどぉ……」


いきなり出て来た私の苗字にドキッとする。
けど、まぁ……どこかで予想はしてた……


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