蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら

「この名刺…どこで…」

「遠い地であなたが落としていった物です」


何時私が名刺を?
と思ったけれども、心当たりは直ぐにわかった。

溢れたワインを拭こうとして、バッグを落とした時ー…
旅行用に新調したバッグなのに名刺なんて入れていたなんて何やってるんだろう、って呆れる。


「朝起きたら姿を消されてしまっていたから、手がかりがあって助かりました」

「それは…ごめんなさい…」

「それともあなたなりの戦略?」

「まさかっ!あなたが澤井家の人だなんて思いもしなかったし…自分の勤め先の新社長に就任される方なんて…本当に何もかも偶然すぎて、私だって戸惑って…」


用意周到な玉の輿を狙った計画なんて、私なんかが出来るわけない。


「嘘です。声をかけたのは僕だ。流石に失礼な発言でした」

「いえ…」

「ただ、それでも僕は構わないと思って貴女に会いに行きました。あの旅での出逢いは運命じゃないかって思う位、偶然にしては凄い確率だ」

「はい…」


それは私だって実感してる。


「そんな運命が引き寄せてくれたあなたと婚姻関係を結びたい」


真っ直ぐな言葉と瞳。



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