蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら

この瞳に見つめられてノーなんて誰が言える?
だけど、こんな雲の上の存在の様な彼と結婚なんて私に務まるの?


「あの…実際は更に、こんなに地味ですし何の取り柄もありません…こんな自分があなたに釣り合っているとは思えなくて…私なんかで良いんですか…?」

「勿論。あなたが良いんだ」

「それに、家族に何も伝えないままはー…」


出来ない、と思ったけど直ぐに言葉を飲み込む。

私には優秀な姉と妹がいる。二人とも名門大学を卒業し大手企業に就職。そこから良い縁があって申し分ない相手とそれぞれ結婚している。

そこで両親が嘆くのは私のこと。


"あのここそ、何の取り柄もないのだから早く誰かにもらってもらわないと婚期を逃してしまう"
"行き遅れなんて恥ずかしい"
"姉も妹も順風満帆で自慢なのに、どうして?"

そんなぼやきを思い出してしまう。

用意してくれた万年筆を手に取り、必要事項を埋めていく。
高嶺の印鑑まで用意してくれていて、先ずは婚姻届が完成した。


「では次にこちらの契約書を確認していただき、問題なければ署名を」


婚姻契約書と書かれた紙がテーブルに置かれる。

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