蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら
老舗の高級料亭で蓮さんと私、私の両親の四人での会食。
「本当であれば私の父母も同席してご挨拶させて頂くのが筋なのですが現在海外でして、私達の結婚が早まり帰国が間に合わず申し訳ないです。披露宴の際に改めて紹介させていただきます」
そう説明してくれる蓮さん。
「いえいえ、大企業のトップともなれば多忙でしょうからお気になさらず。澤井さんが次女を貰っていただけるというだけで十分です」
「本当に。他の姉妹に比べて何か秀でた才能もある訳ではありませんし、人付き合いも下手でして…このまま独身じゃないかと心配していましたの。それがまさか澤井グループの御子息様に見そめられていたなんて」
詐欺だの妄想だの言っていた私の両親は、蓮さんと会い本物の澤井グループ御曹司と分かるなり上機嫌。世間体や常識を気にするくせに、この結婚がチグハグな順番でもお構いなしのよう。
「では今後の事もありますので、入籍は近々縁起が良い日にすませたいと思います。挙式、披露宴の日取りにつきましてもこちらの都合で申し訳ないのですが、短い準備期間になると思います」
「えぇ、こちらとしても早い方が安心します」
やっと貰い手が見つかっただけでも御の字なのに、相手は超がつくハイスペックな人物。
「お母さん、初めて葵のことを自慢できるわ」
「姉妹の中でもどうしてこんなに葵だけ違うものかと悩んでいたが安心した。いいか、捨てられない様にくれぐれも上手くやるんだぞ」