蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら

謙遜にしたって実の娘を送り出す言葉としては冷たい。夫になる人の前で言われ恥ずかしい。
それでも、こんなに両親から褒められ、喜ばれたのは初めてだった。

私は三人姉妹の真ん中。
姉と妹は幼い頃から何をやらせても優秀で自慢の娘。外見も良いし愛嬌もある。
私は何をやらせてもあまり芽が出ず不器用で地味だし暗い。
姉と妹は一流大学から大手企業に就職したのに対して、私は滑り止めで受けた大学からなかなか就職活動が上手くいかず何とか百貨店に契約社員として入社。
五年目でやっと正社員へ登用された。
その間に姉も妹も経歴申し分ない相手と結婚し、出産。

特別うちは裕福な家庭ではないけど、教育にはお金をかけてくれた。多少無理をしても姉と妹が期待に応えてくれるとそれがステータスになるのだろう。
同じ姉妹でどうしてこうも差があるのかと何度嘆かれたことか…

だからこそ今、私は初めて両親に評価をもらえた気がした。


「すみません…私、他の姉妹と違って出来の悪い娘なので…親子関係も不自然なところがあるかもしれません。上手く間に入れなくて、すみません…」


料亭を出て両親をタクシーに乗せ、見送った後、私は蓮さんに謝った。私は親子関係でさえ上手く築けている自信がない。


「家族関係なんて様々だよ。葵が気にすることなんてない」


蓮さんは何も問題ないと返してくれた。
確かに、私達だって愛が生まれて家族になる訳じゃないのだから、契約結婚した相手の家族関係がどうなんて連さんには気に留める事でもないのだろう。

余計に介入してくる家族がいるより、厄介払いしてくれた方が都合が良いのかもしれない。

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