蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら
そんな出来事の積み重ねで、彼氏いない歴イコール年齢で片思いでさえやり方の知らない私は何時の間にか加藤さんに惹かれていた。
連絡先を交換してくれたり、食事をしたり、長い片想いの中、少しずつ距離を縮められていたつもり、だった。
なのに、
加藤さんが彼女と付き合い始めたって事を知ってしまった。
しかも、その彼女は、今、目の前にいて―…
左に座る女子社員、岬茉莉
彼女と加藤主任が付き合っているってロッカールームや社員食堂での噂話。
終業後に仲良く腕を組んで、会話をしながら帰宅していく姿だって見てしまった。
『主任……加藤さんとこうして歩けるなんて夢みたい』
『どうして?』
『だって加藤さん、あの人―…高嶺さんみたいに控えめで静かな感じの女性が好きかと思ってました。加藤さん位じゃないですか。高嶺さんに業務以外のことで声かけてあげてる男性って~…』
『そうかな。高嶺さんの事は真面目で彼女なりの良さはあるとは思うけど、そんな風に意識した事がないから』
『じゃあ、私と高嶺さんが同時に告白したら、ちゃんと私の事、選んでくれました?』
『勿論だよ。茉莉みたいに明るくて可愛い子が彼女だなんて自慢だよ』
あの日、聞こえてきたのはそんな会話だった。