蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら

そうだ。
俯いてばかりじゃいられない。
蓮さんに相応しい女性にならなくちゃ…
いくら蓮さんが素敵でも隣りにいる私が足を引っ張ってしまったら契約にも関わってしまう。

けど、どうすればいい…?
蓮さんはサントリーニの時の背伸びしてまだ普段よりはマシと言える私の姿から、素の私を見ても特に何も指摘はしてくれないし…
三十年間ずっと自分磨きを怠ってきたから、方法がわからない。

確かに百貨店業界は新しい小売業務の展開で全盛期に比べれば苦しい状態かもしれないけど、ネットショッピングにはない特別な場所という感じで入るだけで気持ちが高揚する場所って思っている。
そんな澤井屋という老舗百貨店に八年間も在籍していたのに…何やっていたんだろう…

そんな事を考えると、少し上がった顔がまた俯いてしまった。

カンカン…

と響く靴音が虚しく響く。

と、携帯が鳴った。


「あ…」


蓮さんからの着信。
勿論、蓮さんは既に出勤している。


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