蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら
私の密かな思いがこんな風に壊されてしまったなんて、ショックで、私は持っていたタンブラーを落としてしまった。
その音で、私が居たことを気付いた二人。
そして今も、振り向いた岬さんと瞳が合う。
あの時は、恥ずかしさとショックで逃げ出した私だったけど、今日は―…
「やだぁ〜…まさか後ろの席だなんて」
「まぁ影薄いし……」
「ダメだってばぁ、そんな事言っちゃぁ……私も何だか責任感じちゃうし」
「茉莉がそんなの感じる必要ないよ。お昼休憩ももう終わるし、さっさと出よう」
あっちから、席を立ってくれた。
倒してしまったグラスをなおし、こぼしてしまった水を紙ナプキンで拭く。
と、
「”高嶺”なのに路傍の何チャラって感じで同情しちゃう」
席を離れながら、小声の内緒話のつもりなのか意図的なのか届いてくる。
クスクスと小さな笑い声までついて。
社歴も年齢もそんなに彼女達と変わらない私だけど、全然違う生き物みたい。
自分に映えるメイクを分かっていて、私服も流行を纏って、コミュニケーション能力も高そう。