蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら
Ⅷ.幸せの演じ方


「進行や会場の事に関しては全て僕に任せて。葵は誰もが羨むくらい美しく幸せな花嫁になることだけを考えて」


初めてウェディングサロンへ行った夜、新居で私の手作りの料理を食べながら蓮さんは微笑んだ。


「あの、私の手料理はお口に合いますか?」

「勿論。朝はコーヒー、昼は空いた時間次第、夜は会食という食生活だったから家に帰ればこんなに美味しい手料理が食べれるなんて幸せだよ」


蓮さんは本当に奥底で望む言葉をくれる。

翌日はカラードレスと和装を試着し、それに合う小物を選んだ。その翌日から三日おきにフェイシャル、ボディ、ヘアのメンテナンス。

それから一日、一日あっという間に経過していく。

挙式、披露宴までは一ヶ月半と想像以上にかなりの短期間での準備となる。
といっても殆どの事は蓮さんが動き、決定していく。
私は蓮さんの隣りに並んでも見劣りしない様な花嫁を目指す。
そんな日々の中、料理を作っただけ、掃除をしただけ、シャツにアイロンをかけただけ、それだけで、ありがとう、幸せだと伝えてくれて、蓮さんの手配で私はエステに行っただけで、素敵だ、綺麗だ、と褒めてくれる。

まるで私の気持ちを鼓舞し、お披露目となる時に相応しい花嫁となるように。


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