蒼い情熱が導く、あなたの極上な愛に酔いしれたら
まずは、ウェディングドレスでの撮影。
だけど、プロの方達に撮られるなんて七五三か、学校行事でくらい。写真は苦手、一緒に映るひとだっていなかったし面白味のない自分の姿を思い知るだけだから。
だから、ガチガチに固まってしまう。
「まずは自然な感じで。会話をされても全然大丈夫なので」
カメラマン叶さんにそう言われるけれども、自然がわからない。
「こちらが今日のブーケよ」
紫苑さんから直々にブーケが渡される。
こんなに沢山の関係者の方々に注目されるとー…
私ってば昔からそう。
いくら努力をしても本番に弱いし、肝心な時に発揮出来ない。
いやだ。
蓮さんに応えたいのに…
タキシード姿にオールバックの蓮さんはモデルさんみたいに華やかでカッコ良い。
蓮さんに並べる花嫁にならなきゃいけないのに…
ギュッと両手でドレスの裾を握ってしまう。
と、
「葵、問題です」
「えっ」
「澤井屋は今年で創業何年?」
「ひ、百十二年…です」
「正解。では、この階段は踊り場まで何段あるでしょう?」
いきなり問題を出してくる蓮さん。
階段?何段⁇
流石に数えたことなんてない…!
「一階に数えましょう」
そう言うと、どうぞ、
と、私に腕を出してくれる。